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【中華民国とは】台湾は国家として認められていないって本当?

掲載 : 2019.10.9
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台湾の国民党政府が使用する国号「中華民国」

  1. 台湾:中華民国
  2. 中国:中華人民共和国
皆さん、台湾では国名に「中華民国」を使用しているのをご存知でしょうか?

でも、台湾に行くとあちこちで「台湾」という言葉も使われています。これは一体どういうことなのでしょうか?

また、「中華民国」って、中国の正式名称「中華人民共和国」とも何だか言葉が似ていますよね。なぜでしょう。

その上、台湾と中国はどちらも中国語を話し文化も非常に似ています。ここではその疑問点につて解説していきます。

「中華民国」となる前の台湾

台湾原住民が暮らす島

かつてポルトガル語で「麗しの島(フォルモサ/Formosa)」として知られていた台湾島には台湾原住民が住んでいました。

そして、17世紀になると台湾に漢民族が移住し始めます。このころ、台湾島はオランダやスペインによる植民地となり、後に清国が併合(1683~1895年)しました。

その後、清国と日本の間で行われた日清戦争(1894~1895年)で日本が勝ったことで、台湾は第二次世界大戦終結(1945年)まで日本領(大日本帝国)となりました。

このときまでも台湾に住む居住者のほとんどが台湾原住民だったと言われています。

台湾が「中華民国」となる

台湾について説明する前に、まず中国(大陸)について説明する必要があります。

中国大陸の話

中国大陸は1644年から清国が支配していました。その後、漢民族の革命勢力(孫文)によって内部崩壊し、1912年に中国の南京に「中華民国」が樹立されました。

要は、中国の国名が「清」から「中華民国」になったということです。

そして、「中華民国」には時期別に次の2つの政府が存在しました。
  1. 北京政府(1912年~1928年/軍閥時代)
    袁世凱の死後、中国全土を完全に統治する「統一政府」が存在しない状態が生じる軍閥時代であった(1916年 - 1928年)

  2. 南京国民政府(1928年~1949年/国民党時代)
これらの時期には、大日本帝国やフランス共和国、アメリカ合衆国などの列強諸国による中国の半植民地化が進行していました。

第二次世界大戦後、中華民国では「中国国民党」「中国共産党」の2つの政党が国内統一をめぐって内戦を繰り広げるようになります
中華民国(中国)の内戦
中華民国(中国)の内戦
そして、この争いで勝利した「中国共産党」は
中国共産党の勝利
中国共産党の勝利
1949年10月1日「中華民国」に代わる中国の国家として「中華人民共和国」を樹立したのです。

これによって、中国国民党による「南京国民政府」は崩壊したわけです。

台湾の話

中国国民党の勢力は台湾へ逃避
中国国民党の勢力は台湾へ逃避
争いに敗れた「中華民国(中国国民党の勢力)」は、拠点を台湾島に移し(1949年末)、蒋介石が総統に復職して台湾に「台湾国民政府」を樹立します(1950年)。
台湾に「中華民国」を樹立
台湾に「中華民国」を樹立
これにより、元々大陸を支配していた「中華民国」は、実行支配地域を台湾とその周辺の諸島にまで縮小することとなってしまいました。
中国本土 VS 台湾
中国本土 VS 台湾
その後も「中華民国」の中央政府を自任する「台湾国民政府」と「中華人民共和国」の対立は続き、本格的な武力衝突は1955年まで行われ、その後も散発的な砲撃戦が起こっていました。

さて、ここまでの説明で言語も文化も似ているわけが理解できたと思います。でも、中華民国が大陸から独立したにもかかわらず、どうして今も対立が続いているのか疑問が残りますよね…。以下、解説していきます。

台湾は国名じゃなくて地域名?

中国の代表権を維持する中華民国(台湾)
中国の代表権を維持する中華民国(台湾)
「台湾国民政府」樹立後も、「中華民国(台湾)」は、国際連合における「中国の代表権」を維持し続け「中国の国家」としての国際承認を得ていました。

ところが、国連の常任理事国として国際社会に大きな影響を与えていた「中華民国(台湾)」も、1971年のアルバニア決議によって、国連から正式な国家と認められなくなってしまったのです。
国際連合のアルバニア決議(1971年)<br />中華民国(台湾)が国家承認されなくなった
国際連合のアルバニア決議(1971年)
中華民国(台湾)が国家承認されなくなった
それを受けて、多くの国が「中国の国家」としての国際承認を「中華民国(台湾)」から「中華人民共和国(中国)」へと切り替えて行きました。その後も「中華民国(台湾)」を国家と承認してくれる国が減り続けています

1992年以降、台湾は中国大陸の主権を取り戻すことを公式的に放棄していますが、中国との関係についての台湾政府の立場は、台湾のどの政党が与党になるかによって大いに左右されているのも事実です。

一方、中国は「一つの中国」政策を強く主張しています。
    「一つの中国」政策
  1. 「中国としての合法的な代表は中華人民共和国で、台湾は中国の統治下にある台湾省(一地方政府)にすぎない」という中国(中華人民共和国)の主張。中華民国の存在や「二つの中国」を否定し、他国に台湾を国家承認しないように強く要求している。
それにしても、どうして今の時代に他国は中国の要求の呑むのでしょうか?

それは、中国が現在も台湾と国交を結んでいるアフリカなどの途上国に対して「台湾と断交したら経済援助をしてあげるよ」とおいしい話で釣るからなんです。反対に既に台湾と断交している国が国交を回復しようと動けば中国は強力な外交的圧力をかけてくるからです。
    2019年9月20日現在
  1. 中華民国を正式に国家として認めている国は、わずか15ヶ国

日本は台湾を国家として認めているの?

1972年以降、日本国政府は中華民国を国家として認めていません。しかし、台湾がどの国に属するかについても言明していない、つまり台湾が中国に属するとも言っていないわけです。

日本国政府は、中国に対しても「中華人民共和国の立場を十分に理解し尊重する」と表明したものの、中華民国の地位については明確にしていません。

日本と台湾は国交がない?

1972年の日中共同声明の日中国交正常化を受けて、日本と中華民国間の国交を断絶する措置が行われ、現在も日華間に国交がありません。

国交がないということは、台湾には日本大使館や日本総領事館がないということです。

しかし、それでは何かと不都合ですよね。そこで、経済交流を維持させるにあたり、在外公館(大使館や領事館)の代わりに利益代表部(日本台湾交流協会)を設置し、外交関係を維持しています。
    利益代表部とは?
  1. 外交関係のない国家同士が、 大使館のかわりにそれぞれの国に設置する外交の窓口。査証(ビザ)発給、居留民保護、民間交流、人道問題などについての対話の窓口として設置される
両国政府は利益代表部を通じて二国間協定を締結したり、親書の交換を行ったりしています。

日本での表記

中華民国は「国」が入るので国名となっていましますよね。そういう意味で公式的には日華関係や日華交流ではなく日台関係や日台交流といった言葉を使うことになるのでしょう。中国に配慮して…。

日本のメディアは「台湾」という表記と呼称を使っています。国家を数えるときも地域として扱い、国家として数えないこととしています。オリンピックなどスポーツ関連では「チャイニーズタイペイ」を使用することもあります。経済や文化的な場面での一般的な呼称は「台湾」表記を使います。 [肥満度チェック] 実は肥満じゃない?
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